Classic Erosionマニュアル

インストール

現最新バージョン1.0.5のフリー版でのインストール手順を解説します。

  • 公式サイトからダウンロードした"classic_erosion_for_tg4_x64_v1_0_5.zip"ファイルを解凍し、"classic_erosion_for_tg4_x64_v1_0_5.exe"のアイコンを起動します。
  • 使用承諾内容が記載されていますので、赤丸の「I accept the agreement(契約内容に同意します)」にチェックを入れ、[Next]ボタンをクリックします。
  • Terragenがインストールされたパスを設定します(インストーラは自動でTerragenのインストールフォルダを検索します)。変更が無ければ[Next]ボタンをクリックします。
  • インストールが終了しました。[Finish]ボタンをクリックします。

『Classic Erosion』ノードのアクセス

『Classic Erosion』ノードは「Displacement Shader群」に属しますので、トップバーの【Terrain】や【Shaders】やノードパレット、ノードネットワークのコンテキストか ら"Create Shader"などからアクセスする事が出来ます。下図は【Terrain】からのアクセス例です。

ライセンス

  • 『Classic Erosion』ノードの初回アクセス時に、ライセンスを確認するためのダイアログが開きます。
    • Purchase a license(ライセンス購入):ライセンス購入のためのサイトがブラウザで表示されます。
    • Enter your registration codes(ライセンスコードの入力):購入時にメールで送られたライセンスコードを入力します。登録時の名前とシリアルナンバーを入力する事で、以降このダイアログは開きません。
    • Use free Version(フリー版を使用):無料で使用する場合はハイトマップに制限が掛かります。TG起動時に毎回このダイアログが開きます。



ノード・リファレンス

Node Type: Shader

設定

Seed シード 一定のランダム要素を生成します。以前と同じ効果を得る場合は、この数値と同じにします。
Random Seed ランダムシード 要素をランダムで生成します。
Erosion duration 浸食時間 浸食過程の長さを定義します。値を1.0より大きく設定出来ますが、実際には1.0が非常に長い事に注意して下さい。大抵はデフォルト値の0.25で十分であり、より小さい値も好結果です。
Erosion scale 侵食の大きさ 最大の侵食サイズを設定します。例えば降雨時の流水に浸食されて出来た最大の峡谷のサイズを設定します。
Auto calculate 自動計算 侵食パラメータ、または侵食されない風景などで、何かのパラメータ値がシーン内で変更された場合、侵 食シェーダは強制的に侵食効果を再計算します。リアルタイムで変化が確認出来る一方、処理負担が掛かります。侵食シェーダは、パラメータやシーンの変更が 重要で、リサンプリングや再侵食が必要かどうかを把握する事に長けています。しかし、場合によっては、重要な変更がなくても風景を間違って再侵食する可能 性があります。そのような場合には、このパラメータを無効にします。
Erode 侵食ボタン 侵食計算を手動で行います。
About Classic Erosionのライセンス状況とバージョン表示のダイアログが開きます。


Heightmapタブ

Heightmap position ハイトマップの位置 ハイトマップを配置する中心座標を設定します。
Heightmap size ハイトマップの位置のサイズ ハイトマップのサイズをメータ単位で設定します。
Heightmap resolution ハイトマップの解像度 ハイトマップの解像度を設定します。


Fluvialタブ

Fluvial erosion strength 河川の浸食効果 河川侵食の効果を設定します。1よりも高く設定できますが、浸食クオリティを大きく低下させます。
Rock softness 岩の軟質 浸食過程の速度を定義します。より柔らかい岩ほどより速く浸食です。
Downcutting 下方侵食(下刻) 垂直侵食の効果をコントロールします。複雑な排水システムを使用して山地を形成するために、下方侵食で侵食に影響力を与えます。
Base level ベースレベル 垂直侵食が側方浸食(側刻)に変化する時期を定義します(河川の浸食が進行するにつれて川床は低下 し、谷幅は広がります。川床を低下させるような浸食を下方浸食、多少とも斜めに働きかける浸食を側方浸食と言います)。川の形成時、この数値を調整する事 で網状河川を形成します。
Random sedimentation ランダムな堆積 流体中の物質が沈積して留まる堆積物をランダムで生成します。川の形成時、この数値を調整する事で蛇行の数を加減します。
Flow volume 流量 河川に流れる水の流量をシミュレートします。数値が高いほど流量は大きく、浸食に影響を与えます。
Laminar flow 層流 層流のシミュレートを有効にします。谷幅の壁に近づくほど流速は小さくなり、谷幅の中心で最も流速が大きくなります。これは流体が谷幅の壁から摩擦抗力を受けるレイノルズ数を元にしており、このレイノルズ数が限界値を超えると流れが不安定になり乱流へと変わります。
例えばハワイのコオラウ山脈のような降雨によって山頂から地表まで浸食したような結果を得たい場合、1以上(例えば2、4、それ以上の10、50など)の 高い値の"Downcutting"パラメータを使用する必要があります。沈積は、"Base level"パラメータの高い値で設定する事が出来ますが、奇妙に見えるかもしれないのを補うために"Downcutting"を0.4にすると良いで しょう。また、例えば"Downcutting"を10、"Base level"を4にした場合の実験も必要かもしれません。
上記画像には以下のパラメータを設定しました:
Duration: 0.2
Erosion strength: 1.0
Rock softness: 0.05(より細い谷を取得し、その分布を変更してより集中的な流れを強調する)
Downcutting: 20
Base level: 8(サンプル画像では8にしましたが、本来は1.0から少しずつ高い値に試していくのが良いでしょう)
"Downcutting"を0に設定すると、同じような結果を得る事も出来ます。これは、"Base level"の高い値が下方浸食効果を補うからです。


Thermalタブ

Thermal erosion strength 融解侵食 河川侵食の効果を設定します。
Thermal effect size 融解効果サイズ 融解侵食の影響を受ける地形に特徴付けるサイズを設定します。
koch_thermal.jpg
設定値は25メートル以下に設定する事を推奨します。しかし、より大きな値が役に立つ場合もあります。
Min angle affected 作用する最小角度 この設定角度以上に傾斜している外観のみに影響します。
Talus angle 傾斜角度 融解侵食によって発生した破砕物は、指定した角度によって斜面を形成しながら滑り落ちます。


Riversタブ

Rivers mode 河川モード 侵食アルゴリズムを調整して、川を彫る事が出来ます。チェックを入れる事で、他の多くのパラメータがこのモードにより内部的にコントロールされるため無効になる事に注意して下さい。無効になるパラメータはグレー表記され、パラメータの編集は出来ません。
Headwaters density 源流密度 平方キロメートルあたりの源流の数を設定します。
Lakes このパラメータは、川のアルゴリズムが湖を形成する事を促進していますが、意図した通りに作動しないため、今後、機能削除する可能性があります。0.0の設定が適切です。
Max rivers depth 川の最大深度 川の最大深度をメートルで定義します。
Rivers width 川の幅 川の挙動をコントロールし、水量が十分に多い場合はより幅広い川を形成するように促進します。
同じ"川"でも大雨の後に残った"水路"は、従来の川とは異なります。違いは、"降雨"による水路は寄せ集められた雨滴が小さな小川を形成して出来上がる ので、特定の"源流点"を持たないという事です。これらの小川は降雨が終わった後には消えてしまうのに対し、恒久な川は一般的に地下の泉などの幾つかの水 源から始まり、永続的に流れます。この『Classic Erosion』の"Rivers mode"は、水源からの川を対象とし、水源位置はランダムに配置されます。そのため、任意の場所に正確な水源を配置する事は出来ません。一時的な小川に ついては、現状の機能では物理的に簡略化されているため適切ではありませんが、特定の設定を使用する事で良い結果を得る事が出来ます。
この場合は、"Rivers mode"を使用せず、"一般的な"浸食が必要です。低い継続時間(0.25未満)、低い浸食力(0.5未満)、高い下方侵食(限りなく1に近い1以上) の設定が必要です。くっきりとした水路を得る場合は低いベースレベル(または0レベル)を使用します。ランダムな堆積パラメータを使って幾つかのランダム な水路を追加する事も出来ますが、結果が悪化する可能性があります。
上記画像には以下のパラメータを設定しました:
Duration: 0.1(0.05のようなもっと小さな値を試してみる事も出来ますが、この場合は浸食力を高く設定するか、1.0以上の下方侵食を使用する必要があります)
Erosion strength: 0.15
Softness: 1.0
Downcutting: 1.0
Base level: 0.12
Random sedimentation: 0.5
Erosion scale: 1000(比較的高い数値を使用する事で、場合によっては良い結果を得る事が出来ます)
結果はほとんど変更の無い地形ですが、降雨の間に形成される一時的な小川の水路が得られます。


Renderタブ

Border blending ボーダーブレンド 浸食ハイトマップの有効範囲と隣接する外側領域との境界の滑らかな変遷をコントロールします。
Render outer area(terrain) 外領域のレンダー(地形) 浸食ハイトマップの有効範囲外にある未浸食地形をレンダリングします。例えば、侵食シェーダを適用して選択的に一部の領域を侵食し、他の地形を元のまま残す事が出来ます。
Outer displacement offset 範囲外のディスプレースメントのオフセット 浸食ハイトマップとの境界のオフセット値を設定します。"Render outer area"が有効の時は、自動で調整されるためにグレー表記(設定不可)になります。
Render original HF details 元のHFディティールをレンダー 'HF'は'High Frequency(高振動数)'を意味します。ハイトフィールドで表現するには小さすぎる元の地形のディティールをレンダリングします。
Mask by deposition 沈殿によるマスク 十分な沈殿/流量がある場合、小さなディティールのレンダリングを防止します。
Mask by flows 流量によるマスク
Render water surface 水面をレンダリング 川モードの水面をレンダリングします。このサーフェスはまだ透明ではないため、水面レイヤーを追加して元の河床を復元するために"Water depth(水深)"マップを使用する必要があります。後でその方法を説明します。
Water level adjust 水位調整 川の水位を設定します。


Mapsタブ

Enable maps マップを有効 チェック時、マップ出力を使用可能にします。マップはシェーダのカラー出力に出力され、"Red to scalar"、"Green to scalar"、"Blue to scalar"のTGの『Function』を使用して分類する事が出来ます。
Red レッド "Red"、"Green"、"Blue"の各パラメータを、マップに対応する色チャンネルに割り当てます。
・Deposition map(川モードの土手マップ)
・Flow map
・Wear map
・Streamline map
・Water depth map

"Streamline map"は特殊マップであり、水の流れの中に流線を表示します。氷河の質感を与える事に有用です("Laminar flow"がこれに役立ちます)。
Green グリーン
Blue ブルー
マップの使用法
3つのマップと解像度が1024のハイトマップを使用してレンダリングされた画像例(Classic Erosionの無料版と完全互換です):
ここで説明している手法を用いたプロジェクトファイルを以下からダウンロード出来ます: maps.tgd

まず、「Maps」タブで"Enable maps"を有効にし、必要なマップをRGBチャンネルに割り当てる必要があります。
次に、3つの変換(Convert)シェーダとして、『Red to scalar』『Green to scalar』『Blue to scalar』を作成する必要があります。オプションで、『Colour adjust shader』を追加し、マップを微調整する事が出来ます。これによりすべてのシェーダ(例えば『Surface layer』に派生マップを与える事が出来ます。


Maskタブ

Mask by shader シェーダによるマスク 『Classic Erosion』シェーダの"Mask"入力端子に、選択したシェーダを関連付けして浸食のマスキングを有効にします。
Invert mask マスクを反転 設定したマスクの変転を有効にします。
Masking mode マスクモード マスクモードを切り替えます。
・Mask as blend: 典型的なブレンドモード、未浸食と浸食地形をブレンドします。
・Mask as erosion strength: マスク入力を侵食力として処理する事で、マスク入力は侵食過程をコントロールする事が出来ます。
・Mask as rock softness: 上記と同じですが、マスクは岩の軟質をコントロールします。
・Mask as precipitation amount: マスク入力は、さまざまなエリアの地形に降った水の量をコントロールします。
Mask as thermal erosion strength 融解侵食力としてのマスク チェック時、上記で設定したマスクを融解浸食用として適用します。
お気に入りの機能の1つ、"Masking mode"としての"Mask as precipitation amount"について。全てのマスクモードは景観を部分的に浸食する事を可能としていますが、"Mask as precipitation amount"は特別な方法で浸食を行います。それは特定のエリアの降雨量を設定します。他のすべての風景も侵食する事もありますが、河川侵食は選択され たエリアでのみ開始される事に注意して下さい。これは素晴らしいツールです。簡単な場合では、『Simple shape shader』は、『Classic Erosion』シェーダのマスク入力に非常に適しています。

『Distribution shader』や『Surface layer』を使用すると、さらに複雑な動作が可能になります。例えば、地形沈降の単純なモデルを作成する事が出来ます。現実世界の降水量は、通常、地域 によって大きく異なります。簡単な例として、山がある場合、大気からの水は凝縮され、主にこれらの高山(より低気温やその他の要因により)に降り注ぐた め、低地よりもはるかに侵食されます。この一連の筋書きは、『Distribution shader』を使用してシミュレーションする事が出来ます。

ここで説明している手法を用いたプロジェクトファイルを以下からダウンロード出来ます: precipitation.tgd

最初に『Classic Erosion』のノードを無効にしてレンダリングした画像:

次に『Distribution shader』を追加して、主に高地を選択するように設定します。

最後に "Mask as precipitation amount"モードでマスクを使用して、『Classic Erosion』マスク入力に『Distribution shader』を接続する事でシーンを浸食します。結果はまさに"あらゆる場所の侵食"よりも面白くなります:

山岳地帯と低地をより広範囲で表現した結果は、さらに顕著で興味深いものになります。
山々をより積極的に選び、すべての低地を黒くしてから、比較的局地的な雨をシミュレートするために、これらの黒い部分に0.05のスカラを加えるのも良いアイデアとなるでしょう。


HDDタブ

このタブでは、特定のファイルに侵食データを保存し、後々復元する事が出来ます。
Erosion data file 浸食データファイル フィールドに保存ファイル名を入力し、[保存(ディスクアイコン)]ボタンを押す事で、浸食データをファイルダイアログで指定した場所にファイルとして保存します。拡張子は".erd"。
Read erosion data on project loading プロジェクト読込時に侵食データを読み込む シーンプロジェクトファイルを開いた時に、"Erosion data file"パラメータで指定したファイルを読込みます。
Read now 読込み フォルダアイコンボタンをクリックし、保存したファイル名を選択する事で自動的に浸食データファイルを読込みます。